食物アレルギーとは?
食べ物に含まれる物質によって、本来身体を守ってくれるはずの「免疫」が過剰に反応し、さまざまな症状を引き起こすことを「食物アレルギー」と言います。
なお、口からの摂取以外にも皮膚との接触、吸入などでも、アレルゲンが身体に取り込まれると、食物アレルギーを起こす原因になります。
食物アレルギーの原因は?
食事などによってアレルゲンが体内に取り込まれると、免疫が抗体(IgE抗体)を作り出します。この抗体がアレルゲンを外敵と捉え、排除しようとしてさまざまな症状を引き起こします。
食物アレルギーのタイプ(即時型・遅発型・遅延型)
食物アレルギーのタイプ(即時型・遅発型・遅延型)によって、その症状の現れるまでの時間が異なります。
即時型
アレルゲンを体内に取り込んだ後、平均して15~30分、長くて2時間ほどで症状が現れます。
アナフィラキシーを起こしやすいタイプです。
遅発型
アレルゲンを体内に取り込んだ後、平均して6~8時間が経過して症状が現れます。
遅延型
アレルゲンを体内に取り込んだ後、平均して1~2日が経過してから症状が現れます。
食物アレルギーの症状は?
- 湿疹、蕁麻疹
(痒そうにしている、ずっと不機嫌) - 食後に咳が出る、息苦しそうにしている
- 強い腹痛、嘔吐・下痢、血便
- 唇・舌・口腔粘膜の腫れ、赤み
- 意識が遠のく
- 血圧の低下、座り込んでしまう
特に小さなお子様は、症状を言葉にして、お父さんやお母さんに伝えることができません。
アレルギー症状には湿疹などの身近なものも数多くありますので、普段からお子様の様子を観察し、変化に気づいたときには注意するようにしましょう。
乳幼児で食物アレルギーを起こしやすい
NO.1は卵アレルギー
乳幼児のアレルギーの原因としてもっともよく見られるのが卵(鶏卵)です。
外食を含め、さまざまな食品に含まれているものですので、十分な注意が必要です。なお、黄身よりも白身の方が高いアレルギーリスクを持ちます。
またよく知られているように、卵は加熱によりアレルギーリスクを減らすことができます。
卵アレルギーの症状
子供の食物アレルギーのうちの約40%、さらに1歳以下に限ると約50%が、卵を原因としたアレルギーです。ただ、通常は年齢を重ねるにつれて症状は軽減していきます。軽症になれば卵を含む加工食品などを食べられるようになりますので、徐々に身体に慣らしていくことも大切です。
- 蕁麻疹
- 唇・舌・口腔粘膜の腫れ、赤み
- 鼻炎
- 頬の赤み
- 息苦しさ、呼吸困難
-
咳、嘔吐
卵の他に食物アレルギーを起こしやすい食品
卵は、お子様のアレルギーの原因となりやすい食品です。ただ、乳幼児から年齢があがるにつれ、全体に占める割合は徐々に少なくなっていきます。牛乳、小麦も同様の傾向が見られます。(小麦に関しては、20歳以上になると再び割合が高まります)
その他、以下のような食品が、よくアレルギーの原因となります。
- 魚卵
- 果物
- ナッツ類
- ソバ
- 魚卵
- 甲殻類
- 魚
- 大豆
- 軟体類(イカ・タコ)
- 貝類
お蕎麦は何歳から食べても大丈夫か
初めてお蕎麦を食べるのは、1歳を過ぎてからにしましょう。またそのときは少量(1センチくらい)に留めておきます。このことで、万が一そばアレルギーであった場合も、症状が軽くて済みます。
初めてお蕎麦を口にしてから数時間は、お子様の様子をよく観察し、症状が現れた場合には早期に小児科医を受診しましょう。
そばアレルギーの症状
お蕎麦は、アレルギー症状が起こるまでの時間が比較的短い食品です。そばアレルギーのお子様が口にした場合、数時間以内に以下のような症状が現れます。
- 皮膚の赤み、蕁麻疹
- 呼吸困難
- 吐き気、嘔吐
そばアレルギーの注意点
- 呼吸困難、嘔吐などの症状が現れた場合には、救急車を呼んでください。口の中にそばが残っている場合には取り出し、可能であればうがいをさせます。
- 卵や牛乳、小麦などと異なり、年齢を重ねてからも症状が持続しやすい食品です。継続的な注意が必要です。お子様ご自身にも、そばやそばを含む食品に注意する意識を持たせていきます。
- お菓子などにもそばが含まれていることがあります。加工食品を口にする場合には、必ず原材料を確認するようにしましょう。
- そばと一緒に茹でたうどんを食べてアレルギー反応を起こしたり、そばの粉塵を吸ってアレルギー反応を起こすこともあります。外食の際には特に注意しましょう。(お蕎麦屋さんに入るだけでも、リスクはゼロではありません)
子供が安全に食べ物を食べられるかどうかを診断
~食物経口負荷試験~
血液検査などでアレルギー検査が広く行われていますが、食品に限っては確かな結果が得にくいのが現状です。
日本小児アレルギー学会が発表した『食物アレルギー診療ガイドライン2016年度版』の中でも指摘されている通り、食物アレルギーの診断には、食物経口負荷試験がもっとも有効です。
食物経口負荷試験とは、アレルギーの疑われる食品を実際に口にし、症状の有無を調べる検査です。結果をもとに、特定の食品を食べないこと(除去)の判断をします。
また、卵や小麦や牛乳など、年齢とともにアレルギー反応が消失していくことを確認し、再び安心して食べられるように導いてあげる際にも、食物経口負荷試験が非常に大切な役割を果たします。
乳児期から出来る食物アレルギー対策
「予防のための」摂取制限をしない
お子様の食事、妊娠中・授乳中のお母様の食事から、アレルギーの原因となり得る食品を除去することは、食物アレルギーの予防にはならないことが分かっています。特に卵については、離乳食から食事に取り入れることでその後の卵アレルギー発症のリスクが抑えられるという報告もされています。(日本小児アレルギー学会)
食べるのを避けるよりも、むしろ適切な時期から少しずつ食べ始めることが予防になります。離乳食を開始する時期は、遅らせないようにしましょう。
スキンケア
湿疹などを起こし皮膚のバリア機能が低下すると、アレルゲンが侵入しやすくなってIgE抗体の産生が促進され、アレルギー発症の原因となります。普段からの保湿、そして治療が必要な肌荒れなどが見られるときには必ず医師に相談することが大切になります。
食物アレルギーQ&A
食物アレルギーを起こした場合の症状の持続時間を教えてください。
食物を摂取後、体内にアレルギー反応が起こります。食物アレルギーの起こるタイプがあり、各々で症状が発生する時間帯が異なります。
- 即時型:食物を摂取してから15~30分(2時間以内)後に症状が出現します
- 遅発型:食物摂取してから6~8時間後に症状が出現します。
- 遅延型:食物摂取してから1~2日後に症状が出現します。
少しずつ卵を与えてみるしかないと思ってはいるのですが、初めての育児で怖くてなかなか卵を食べさせることができません。食べさせたいという気持ちがあるのですが、どうすればいいのでしょうか?
まずはお気軽にご相談ください。
お話をお聞きして、食事指導をあるいは、場合によっては食物負荷試験を行います。
食物アレルギーと間違いやすい病気はありますか?
食物アレルギーは特定の食物が原因でアレルギー反応が起こり、蕁麻疹や呼吸困難などの様々な症状がでることをいいます。このため、アレルギー反応を介さず、食物を摂取することで何らかの症状が出てくるものは、食物アレルギーとは分けて考えます。
例えば、牛乳を飲んで下痢をする乳糖不耐症や、細菌・ウイルスが増殖した保存状態の悪い食品、繊度が落ちてヒスタミンを多量に含む魚を食べて起こる食中毒はアレルギー反応によって起こるわけではないので、食物アレルギーではありません。
子供が卵アレルギーと診断されたのですが、完全に卵を除去しなければならないでしょうか?
必ずしも完全な卵の除去は必要ありません。除去食の内容は、患者さんのアレルギー体質、年齢、卵製品の種類・量、実際食べたときの症状やご家族の考え方など、いろんな要因によって異なりますので一概にはいえません。 しっかりと正しい診断と指導を受けましょう。
食物アレルギーの検査は何か月から可能ですか?
お子さまの症状や月齢によって、最適な検査時期や期間が違います。お気軽にご相談ください。