赤ちゃんを迎えて新しい生活を始められたご家族の幸せな様子は、まわりの人たちまで嬉しい気持ちに包んでくれます。
生まれたばかりの赤ちゃんが家族に加わると、それまでの生活にも大きな変化が現れます。ご不安なこと、困ってしまうこともあるでしょう。中でも1人目の赤ちゃんの子育てに取り組まれるご両親は、さまざまな“初めて”を体験し、戸惑われることも少なくありません。
言葉はもちろん、ジェスチャーでもなかなか意志を伝えられない赤ちゃんの大切なサイン、子育てをする中でよくきかれるお困りごととそのときの注意点をご紹介します。
赤ちゃんを病気から守るために~予防接種~
予防接種は、さまざまな病気から赤ちゃんの健康を守ってくれるものです。
副作用などについてご不安なこともあるかと思いますが、うつぼ本町キッズクリニックでは、原則として、予防接種はできる限り受けていただくことをおすすめしております。「本当に意味があるのかな?大丈夫なのかな?」「副作用が出たらどうしよう」といったご不安がありましたら、一度ご相談にいらしてください。お母様のご不安を一つ一つ解消していき、ご納得いただいた上で接種をするようにしております。
なぜ生後2か月から予防接種が必要なの?
生まれてすぐの赤ちゃんは、お母様から受けついだ免疫により、ウイルスや細菌などの外敵から身体を守っています。その後、受けついだ免疫は徐々に失われて、代わりに今度は赤ちゃん自身の免疫を獲得していきます。だいたい、生後5カ月頃にこの時期を迎えると言われています。つまり生後5カ月は、もっとも免疫が頼りない時期にあたり、さまざまな病気のリスクが高まることになります。
では生後5カ月からワクチンを接種すればよいのかと言えば、そうではありません。接種してすぐ効果が現れるものではないためです。ワクチンの効果を十分に発揮させるためにはそれより早く、生後2カ月からの接種が必要になるのです。
上手に予防接種のスケジュールを立てるために
各予防接種を受ける時期は、ご自身でも調べることができます。ただ、一覧表などをご覧になっていただければ分かる通り、最初の接種時期によって接種の回数が違ったり、3回、4回と接種が必要なものがあったり、「〇日以上間隔を空ける」と決められたものがあったりと、非常に複雑なルールが定められています。
うつぼ本町キッズクリニックでは、お子様一人一人に合わせたスケジュールを作成・ご提案しております。無理のないように、受け忘れのないようにスケジュールを立てますので、ぜひ一度ご相談ください。
ワクチンを一度に複数以上接種する、同時接種にも対応しております。
生後6ヶ月以降に注意したい病気
生まれてから6カ月頃までの赤ちゃんは、お母様から受けついだ免疫によってウイルス・細菌などによって身体を守っています。以降、受けついだ免疫は徐々に低下していき、代わりに赤ちゃん自身の免疫を獲得していきます。そのため、この期間は特に病気に注意しなければなりません。以下にて、生後6カ月以降に注意したい病気をご紹介します。 なお、免疫物質を含む母乳を飲むことでも赤ちゃんの免疫は保たれます。ミルクを飲んで育った赤ちゃんよりも感染症にかかりにくいと言われています。
風邪
鼻や喉への細菌・ウイルスの感染で起こる上気道炎です。発熱、鼻水・鼻詰まり、咳や喉の痛みなどを伴います。
急性中耳炎や肺炎を合併することもありますので、風邪をひいてしまったら、その都度きちんと治すことが大切です。休養しつつ、消化の良いものを食べさせるようにしましょう。発汗や下痢による脱水症状にも注意が必要です。
インフルエンザ
風邪との違いは、急な高熱、関節痛・筋肉痛、頭痛が見られる一方で、鼻水・鼻詰まり・咳症状がほとんどない点です。急性中耳炎や肺炎、熱性けいれんなどを併発するリスクもあります(特に乳幼児は注意が必要)。
インフルエンザワクチンは生後6カ月から受けられます。できるだけ、シーズンごとに受けるようにしましょう。
ヘルパンギーナ
夏の3大感染症の1つです。急な高熱、喉の奥の水疱・潰瘍が特徴的な症状です。
潰瘍を痛がって食事が摂れないこともあります。
手足口病
夏の3代感染症の1つです。口腔、手のひらや足の裏などの痛みのない水疱、発熱が特徴的な症状です。
急性脳炎や髄膜炎など、命にかかわる病気を合併することもありますので注意が必要です。
プール熱
夏の3代感染症の1つです。発熱、喉の腫れ・痛み、結膜炎などが見られます。プールを介して感染することが多いためこの名がついていますが、タオルの共用などでも感染します。
発疹
発疹の中でも、突然の高熱を伴う「突発性発疹」は赤ちゃんに起こりやすい病気です。数日間の発熱を経て、顔や身体に赤く小さな発疹が現れます。また、下痢を伴うこともあります。
ウイルス性胃腸炎
ウイルス感染によって起こる胃腸炎です。原因となるウイルスには、ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどが挙げられます。
吐き気・嘔吐、下痢、発熱などの症状を伴います。脱水症状にはくれぐれも注意しましょう。
はしか・風疹
はしか(麻疹)は、発疹、発熱、鼻水、咳、目やになどの症状を伴う病気です。中耳炎、肺炎、脳炎などを合併することもあります。
風疹は、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどの症状を伴う病気です。はしかと症状が似ていて、短期間で治ることから「三日はしか」とも呼ばれます。
どちらもワクチンで予防できます。1歳になったら、MRワクチンを接種しましょう。
2児の母親でもある院長からのプチアドバイス
はっきりとした症状とは言えなくても、お子様のいつもと違う様子、急な変化に気づいたときには不安になるものです。お子様の身体について知っておくことは、私たち親の立場であれば大切なことですが、予期せぬ事態、初めて見る変化を、ご両親が常に適切に判断できるとは限りません。慌てて受診して「何も問題がなかった」ということもあれば、様子見をしてから受診して「早期の対処が必要だった」ということもあります。
大切なのは、分からない状態でいないことです。少しでもご不安を感じたならば、お気軽に、そしてお早目に当院にご相談ください。
赤ちゃんのサインに気づいてあげよう
赤ちゃんの体調の変化は、表情や機嫌、食欲や排便などから読み取ることができます。
こういった変化に気づければ、はっきりとした症状が現れる前に対応することも可能になります。赤ちゃんをもっとも近くで見ているお母様の「さっきと違うな」「昨日と違うな」という気づきが、赤ちゃんの病気の早期発見につながります。
サインに気づいたときには、お気軽にご相談ください。
機嫌が悪い
お腹が減っていない、オムツもきれい、なのにあやしても機嫌が悪い状態が続くときは、体調不良を疑う必要があります。発熱や鼻水、皮膚の状態など、他に症状がないかチェックしてあげてください。
母乳やミルクを飲まない
体調不良、風邪、喉の痛みによって、母乳やミルクを飲まないことがあります。一時的な便秘・下痢などでも起こり得ることですので、その状態が続くときにはご相談ください。
うんちが出ない
うんちが出ない、つまり便秘のときも、何らかの体調不良を抱えていることがあります。他に症状が見られる場合には、一度ご相談ください。
うんちの色がいつもと違う
赤や黒いものが混じっている場合には血便が、白っぽい下痢の場合には脱水症状が疑われます。どちらの場合も、すぐに受診するようにしてください。
緑色の便が出ることもあります。その色にびっくりしてしまいますが、多くは心配無用です。空気が便と混じって変色したものです。他に症状がないようでしたら、様子見で問題ありません。
うんちの回数が少ないまたは多い
赤ちゃんの体質、母乳・ミルクの量によってうんちの回数は異なりますので、平均と比べて多い・少ないと慌てる必要はありません。また、生後2~3カ月にかけては、全体的にうんちの回数が少なくなる傾向があります。
全くうんちが出ない、下痢が何日も続いている、出たうんちの様子がいつもと違うといった場合には、一度ご相談ください。
おしっこの量や回数が少ない
暑い季節は、発汗により水分を外に出すため、おしっこの量も回数も少なくなります。1日に5~6回おしっこがあるようでしたら問題ありません。
ただし、授乳期の赤ちゃんで日中に6時間以上おしっこがない場合には脱水症状が疑われます。すぐに受診するようにしてください。
おしっこの色がピンク色に見える
赤ちゃんのおしっこは大人と同じで透明かまたは薄い黄色です。ピンク色に見えるときは、血が混じっている可能性があります。どこから出た血なのかを判断することが重要になりますので、そのピンク色のおしっこがついたおむつを持ってご相談ください。
万が一、赤ちゃんが誤飲してしまった場合の対処法
飲食物以外のものを飲み込んで胃に入ってしまう、あるいは気道内に詰まってしまう状態を「誤飲」と呼びます。ときに命にかかわる事態に発展します。お子様が誤飲した際には、お母様・お父様には、適切な対応が求められます。
なお、誤飲の際には水などを飲ませないようにしてください。異物によっては有害成分の吸収を早めることがあります。
対処法
すぐに救急車を呼ばなくてはならないケース
- 意識を失った、痙攣を起こしている
- 石油、ガソリン、除光液、ライターオイルなど揮発性物質を飲んでしまった
誤飲したものを“吐かせずに”早急な受診が必要なケース
- 漂白剤、カビ取り剤、生切開乾燥剤など、強酸性・強アルカリ性物質を飲んでしまった
- 針、画鋲、尖った部品、ガラスなどの鋭利なものを飲み込んでしまった
- 煙草が浸かった液体(水、コーヒーなど)を飲んでしまった
- 煙草を2センチ以上飲み込んでしまった
- 煙草を飲み込んでしまい、嘔吐、顔が青い、ぐったりしているなどの症状がある
誤飲したものを“吐かせて”受診が必要なケース
- 紙
- ねん土
- 絵の具・クレヨン
- 石鹸(固形・液体)
- 化粧品類
- 洗剤
- 墨汁
- 乾燥剤 など
吐かせ方について
基本的な吐かせ方
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お子様の頭を低くして下を向かせた状態で、喉を傷つけないように指を挿し入れ、舌を圧迫すると嘔吐反射が起こります。
咳き込んでいるなど、まだ異物が気道内に留まっていると思われる場合の吐かせ方
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膝の上でうつ伏せに寝かせ、顎を支えて頭部をやや高くした状態で、背中の上部を5回ほど、手のひらで叩きます。